ご近所に、個性的でかっこいいおっちゃんがいて。
玄関先にしつらえた作業台で(夏はビール片手に)
椅子なんだか棚だとか、いつも何かしら作っていて、
家の前はおっちゃんが植えた花でいっぱい。
いつも全身白でそろえて蛇皮のブーツ姿、斜めにかぶったつば広の帽子。
毛並みのゆたかな大型犬をおともにご近所を歩く姿に、すれ違う人がふり返るほど。
若いころ海外に渡り、世界中を飛び回って仕事をしてはったらしいんやけど、
それも引退して悠々自適の一人暮らしを満喫されてました。
そんなおっちゃんが緊急入院されたのは今から2月前のこと。
じつは一昨年、昨年と町内会長だったわたしと夫、
すぐに一報が入ったのでした。
その後はご自宅の火の元の確認にはじまり、各所への連絡、
おっちゃんのご家族探しやら飼い犬のお世話やらひた走り。
なんとか連絡がとれて駆けつけてくださった娘さんには
何度も頭を下げられたけど・・・
それよりもこの町内に引っ越して14年。
慣れない町内で右も左もわからなかったわたしたちに、
色々親切に教えてくれて。
子どもたちにいつも声をかけてくれて、
犬と遊ばせてもらったりおやつをくれたおっちゃんに、
せめてお礼がしたくてのことでした。
それは力を貸してくれた何人かの町内の方も、きっと同じ気持ちやったとおもいます。
そんなおっちゃんは順調に回復され、
退院されて娘さんとご挨拶に見えた、その10日後。
ご自宅で亡くなられていました。
突然のことで悲しみより驚きの方が大きかった。
ゴンとともに参列させていただいた最後のお別れでは、
まだよちよち歩きのお孫さんが、
おっちゃんが眠るそばへ小さな手で花を手向けていて。
遺影はお気に入りの帽子をかぶったかっこいいおっちゃん。
生前用意してはったんやって。
おっちゃんらしく、最期まで一人を楽しみ切らはったんやな。
そんな気がしました。
わたしもおっちゃんを見習って、しっかりゴールをみすえて生きていこうと思います。
ご実家にもどられる娘さんに、せめてもとささやかな贈り物を。
ゴンがそのお孫さんぐらいのころに着ていたワンピース。
手渡す前に慌てて写真に撮ったのでしわしわやけど。
お孫さんはおじいちゃんのこと覚えてないかもしれないけど、
このワンピースを気に入ってくれるかはわからないけど。
すこしでも、おっちゃんとの思い出をつないでくれたらええな。
おっちゃんのご冥福を心よりお祈りします。